広島市安芸区のJR呉線で3月、線路内にいた男児が電車と接触して死亡する事故があった。捜査関係者によると、死亡したのは特別支援学校の当時小学6年の男児(12)。男児は以前、自宅を飛び出して行方不明になったことがあり、この日も家を抜け出して事故にあったという。突発的な行動を起こす子をもつ親は「ひとごとではない」と不安を口にする。
事故は3月10日午後6時45分ごろに起きた。JR西日本によると、運転士が線路内に人影を見つけ、非常ブレーキをかけたが間に合わなかったという。線路は国道沿いの歩道と並行して走っており、現場付近の線路と歩道の間にフェンスなどはなかった。
捜査関係者によると、男児は電車が好きで、事故直前に線路近くを1人で歩いている姿が確認された。母親は警察に対し、自宅に鍵を複数かけるなど、勝手に外出しないよう対策していたが、気付かないうちに家を出てしまったと説明したという。事故は、警察などが約1時間捜索していたさなかに起きた。
自宅のドア、扉に数えきれぬ鍵
「ひとごととはまったく思えない」。東京都内の女性(55)は、特別支援学校に通う中学3年の長男(14)に重ねる。
長男は小学生のとき、多動や物を壊す行為などが高い頻度で起こる「強度行動障害」に認定された。「動くものが大好きで、走っているバスに手を出したり、車道に飛び出したり。外に出ると絶対に手を離せないし、家の中でも目を離せない。心休まるときはない」
自宅では扉の中にある物を出…